ツッチーさんのSOTDレポート

 おなじみシドニーのツッチーさんから、"Spirit of the Dance"のレポートをいただきました。ああっ、うらやましい!!日本にも来てくれー!!
1999
posted by ツッチー

「第2のリバーダンスか、それとも全く新しいアイリッシュ・ステップか?」。

というわけで、普段お笑いネタしか提供していない私ツッチーが、今回は「スピリット・オブ・ザ・ダンス(以下SOTD)」の鑑賞リポートをお届けしたいと思います。見たことも聞いたこともない方々に言葉だけでイメージを伝えるのはとても難しいのですが、少しでも雰囲気が伝わればと思います。

さて、HPをご覧になった方はすでにご存知だと思いますが、SOTDは、マイケル・フラットリー率いるリバーダンス(以下RD)をロンドンで初めて見て、いたく感動したというプロデューサーが作った新手の?アイリッシュ・ダンス・カンパニーです。「RDの二番煎じゃないの?」と思われそうですが(私自身もそう思っていました)、ジャズ、クラッシック・バレエ、フラメンコなどなど内容はバラエティー豊か。私が見た限りでは、アイリッシュ・ステップをメインに、RDとは一線を画すエンタテイメントを目指しているダンス・カンパニーの印象を受けました。

RDが初来日した日本とは対照的に、最近やや食傷気味の感があるここオーストラリアですが、それでもSOTDに対する反応は特別なものがありました。看板や新聞広告には、それこそ「あのRDがさらに進化した」という宣伝文句が並んでいて、音楽番組でも一流ミュージシャンと一緒にゲスト出演していました。ただ“アイルランド=RD”のイメージがいまだにあるので、さわりの部分の紹介となると、どうしても“例のタップ”になってしまいます。

ポスター
ポスター

今回、私が観に行ったのは、シドニー郊外のヒルズセンターという会場です。RDやLOTDの時もそうでしたが、オーストラリア公演は数ヶ月間に渡って行われます。そう考えると日本公演は短すぎますね(しかも高い!)。夜のステージでしたので会場の写真は撮りませんでしたが、大きくも小さくもなくといった感じです。ステージは、初期のRDのようにシンプルで、日本の床の間(例えが悪い?)のように奥の方が一段高くなっていました。公演が始まる前からスモークが天井まで充満していました(笑)。

オープニングは、お約束のナレーションから始まりました。RDのような幻想的な感じではなく、全員がワンステップずつ、ズシン、ズシンとゆっくりと展開していきます。とくに目立ったのが拳を突き出すポーズ。空手の練習でもしているような力強い?イメージです。しかも、みな背の高いダンサーばかりなので、ハイライトのタップでは床が抜けるのではないかと思うほどの迫力。RDほど“一糸乱れぬ”とはいかないまでも、かなりのスピードのタップを見せてくれました。衣装は、RDとLOTDの中間ぐらいでややモダンな印象。男性はTシャツかワイシャツにリッキー・マーチンのようなゆったりとしたバギー・パンツ。女性はかなり丈の短いスカートで、足がとても長く見えました。

SOTDは、RDのような専門のコーラス隊を持っていません。ダンサー自らもヴォーカルをとります。仁王立ちになった男性と、バレリーナのような衣装の女性が、ジャネット・ジャクソンを思わせる小型マイクをつけて、思いっきりバラードを熱唱しながら、抱擁あり、キスあり、リフトありのダンスを展開します(このへんはほとんどブロードウェーの世界です)。チャールストンや、ウエストサイドストーリーを思わせるようなステップを披露したかと思ったら、いきなりクラシックバレエの世界にワープ。なんという展開!あっけにとられていると、こんどは袖からアジア風の扇子を持ったダンサーが登場してステージが一瞬にオリエンタルな雰囲気に…と思ったらいつの間にかフラメンコになっていました。

うーん、これはもしかしたら「ダンスでめぐる世界の旅」なのかもしれない! とは言うものの、決めるところではしっかりとアイリッシュになるところはさすがです。見方を変えればこのSOTDは、「アイリッシュ・ステップこそが最高のステップ」と言っているような気もしなくもありません。

ところでフィドラーは? はい、ちゃんと登場します。タップ同様、確かに“速い”という印象はあるのですが、非常にテンポの速いステージなので、じっくりと聴かせるという感じではありません。お客さんの手拍子と一緒に飛び跳ねながら弾いていたほどです。しかも最後にはステージに寝そべって弾いていました(しかもミニスカート!)。

CDのインレイ
CDのインレイ

SOTDではいろいろなダンスが登場しますが、LOTDのように柱になるストーリーがあるので、全体としてはまとまっているステージだと思います。RDをベースにしながら、なんとかして新しいものを作りだそうとしている強い意気込みを感じました。あえて3者の違いを言うと、車に例えれば、RDが「品の良い高級車」で、LOTDが「走りにこだわったスポーツカー」。そしてSOTDが「何でもアリの大衆車」という感じです。RDのように完成しきっていない分、これからお客さんの反応次第でいくらでも変わっていくような気がします。SOTDが新しいファン層を広げていくかもしれませんね。

グッズ売り場
CDはミュージカルのサントラ版のような感じです。また、ビデオはダイジェスト版のような感じでステージのイメージとはずいぶん違います。


99.7.12追加

ツッチーさんからサントラCDのジャケット写真と曲目リストいただきました。みなさんも何となく曲想を想像してください、ということで(^_^;)。

CD表面
CD裏面
CDはミュージカルのサントラ版のような感じです。また、ビデオはダイジェスト版のような感じでステージのイメージとはずいぶん違います。

[SPIRIT OF THE DANCE]
  1. The New Millenium (3.55)
  2. The New Millenium - Dance Megamix (4.15)
  3. Eternity (3.55)
  4. In my Heart (4.40)
  5. The Dancers Tale (5.23)
  6. Whilly's Jig (3.32)
  7. Virtuoso (3.30)
  8. Funk-A-Billy (2.20)
  9. Celtic Rock (2.30)
  10. Celebration (6.10)
  11. Spirit's Born (4.45)
  12. Saturnalia (6.15)
  13. Duet-Danny Boy/Spirit (3.35)
  14. The Ultimate Showdown (8.11)
  15. Flamenco Fiesta (6.55)
  16. Spirit of the Dance-The Song (3.30)

Words and Music by King & Dave Williams
Musical Director-Dave Williams
RCA Victor

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