RD2003:10/30夜:3年ぶりにRDが帰ってきた

大阪レポート一番乗りはK.D.NARUSEさんです。ありがとうございます。
Nov. 3 2003
posted by K.D.NARUSE

3年ぶりにRDが帰ってきた。が、それほど間の空いた気がしない。自分が忙しかったせいもあるが、1999年−2000年の間にRD internationalが取り入れられて新しいものがやってくるという期待感に満ちた2回目ほどの、我々の中での話題性に欠けている部分は否定できない。もちろん、毎回何か新しいことをやらなければならないという義務があるわけではなく、プレイヤーの変化を楽しむという方法が本来の楽しみ方であるのかもしれない。しかし一定のレベルを保つことは必要であり、スポンサーが変わっただけでなんら新しい展開がないというのは、ヘタをすればそのスポンサーたちまでが何も理解していないというそしりを受けかねない。

で、大阪城ホール。初来日公演のフェスティバルホールの興奮は伝説以外の何者でもないが、2回目はそのパワーアップしたライティングが城ホールにはぴったりで、豪快になって帰ってきたRDを実感させたものだ。さて今回は。

電機メーカーがスポンサーだが、テレビもパソコンもプレゼントはない。(笑)電池くらいくれてもいいのになんて思うが、まあパンフの裏に宣伝を入れているくらいで「どこそこプレゼンツ!」なんて出しゃばっているわけでもないのでよかろう。よくないのはステージセットで、照明もむしろ縮小されている感があるし、コンピュータ化されたステージバックはなぜかサイズが小さくなっている。アリーナ12列目だが、10列目までを1ブロック目としていて客席の間がかなり空いている。前が見やすいのはいいが、熱気はその分薄くなるだろうし、客が入らないのかな?とも思わせる。木曜日なんてのはそんなものかもしれないが。席はまあまあ埋まっているかな、というところ。


さて開演。メンバーはトップメンバーだ。しかし音量が小さく、タップの音だけが不自然に大きく聞こえる。これも予算縮小?の結果か。そういえば今日は大阪既に3日目にもかかわらず開場を遅らせていろいろチェックしているようだった。名古屋でもトラブルが続発だったようだが、今回のジャパンツアーは何らかの問題が生じているのだろうか。初めて観るコナー氏は実に力強く素晴らしいが、何度か観ているジョアンさんはちょっと疲れ気味なのか切れに欠ける。楽器は悪くないが、イーリアンパイプのソロはちょっとひどく、リズムの解釈も悪くちょっと聴いていられない。しかも後半でも本来パイプの弾くべき部分をMairin Fahyがやや苦労しながらフィドルで再現している部分があったので、これは構成ではなくUnderstudy playerだったのかもしれない。「さくらさくら」を演奏している場合ではない、残念。また男性ソロ・シンガーもあまり迫力がなかった。

素晴らしかったのはヨランダさん。既にビッグネームである彼女だが、マリア=パヘス大臣の代役的な立場だった頃に比べ、一段と上手くなっているようにも感じるし、優雅で美しい。カスタネットを使ったり髪留めをとばしたりの鬼気迫る熱演というのではなく、実に繊細な表現力をもったとても素晴らしいものだ。

内容にはとくに大きな変化がない。American wakeも若干構成が変わっているが、特に感じ入る部分はない。Russian Dervishの評判が今回の公演では高いようだが、今日を見る限りでは前回を超えるものではない。Trading tapsは個々人の能力はしっかりあるのだろうが、構成が変化がないためにあまり目新しく感じられない。問題のHome and the heartlandのカットだが、個人的にはその分Mairin Fahyのフィドル・ソロが長くフィーチャーされており嬉しくないことはない(笑)。でもちょっと太りすぎかな?それはともかくもう少しはっとさせる部分が欲しい気もする。でも彼女は正統なフィドルを受け継ぐ第一人者だからそれでいいんです(愛)。それはともかく、流れとして今まで感じてきたものと異なるので、不自然に感じられる方が強い。新しい構成というのが今まであったものをデリートするだけ、では観客もあまり納得しないだろう。ラストではぱらぱらとスタンディング・オベーションも出ていたが、いまいち盛り上がりきらないまま終了。

総じて目新しい感動のないショウだ。むしろ縮小された部分ばかりが目につき、全体としてはコナー氏の孤軍奮闘といったところ。客席が盛り上がらないのは客のせいばかりではなく、もしかすると私のような3年越しのリピーターが同様の感じを持っているのではないだろうか。大阪最終日、もう一度観てきます。今度は明るいレポートを書きたい。

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