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ヨランダっ!

12/9昼

すぎやまさん

とんがりやまさん



なんと名古屋も行ったのか・・・やったら元気なとんがりやまのご隠居のレポートです!


12月9日(土)1:00〜

本日のネスレ:ゴールドブレンド
+きっとカット&クランチ
本日の主演:Ryan Carroll
+Roisin Cahalan
+Yolanda Gonzalez Sobrado


 なにしろ名古屋は初めて訪れる。先行予約でこの日の夜の部は買っていたのだが、どうせ交通費を使うならと、急遽思い立って昼の部当日券狙い作戦に出た。とりあえず早めの新幹線に乗って、名古屋で在来線に乗り換え笠寺駅に降り立つ。

 会場のレインボーホールは笠寺駅のすぐ目の前だ。ここで降りる人の目的はみなリヴァーダンスとみていいのかもしれない。駅を出ると、すぐにダフ屋が立っている。うーん、こりゃ当日券は手に入らないかも?ややあせりを感じつつ、いそいそと会場に向かうと、なにやらホール周辺が騒がしい。

 なんと、ネスカフェサービスを外でやっているのだ。グッズ販売も会場前の広場にテントを建ててやっている。12月とは言え快晴で、昼間は汗ばむくらいだからアウトドアコーヒーもよかったけれど、もし雨や雪が降っていたらどうするつもりだったんだろう。

 とりあえずコーヒーはあとまわしにして、当日券売場を探す。並んでいる人はいない。10秒後、スタンド席のチケットを無事ゲット。席はどこだっていい。なんなら最悪の条件でもかまわなかった。これまではなるべくいい席を手に入れようとしてきたのだが、逆に、条件のよくない席での感じ方がどうなのかに興味が出たのだ。

 ひとまずやれやれといったところでコーヒーを貰い、グッズ売場をひやかす。

 シューズバッグは影も形もない。売り切れなのかな?それから、オペラグラスも東京より100円安い。あまりの粗悪品に売れ行きが悪く、ついにディスカウントか?と思ってよく見たら、なんとあのロゴが印刷されてない。真っ白のオペラグラスだ。こりゃあ400円が200円でも充分高いぜ、などと心の中でつぶやきつつ会場入り。

 与えられた席は、それほど悪くはなかった。かなり右端ではあるが2列目で、座るとオーケストラ席がまっすぐ目に入る。舞台は右斜め上から見下ろすかっこうで、テレビ中継によくある構図かも知れない。

 一方アリーナはと眺めてみると、9列目までの椅子がものすごく間隔を開けて並べてある。9列目にPAブースがあり、さらに結構な広さの通路をとって、10列目以降はぎゅうぎゅう詰め。そこから徐々に段差をつけて、アリーナ最後列はスタンド最前列とほとんど同じ高さとなる。スタンド席をぐるっと半周してみたが、最後列でもまあまあよく見える。大阪城ホールよりも狭いのだろうか。

 ただしこのホール、ショーが始まってから音の響きに悩まされた。右端の席だから、右手に舞台、左はホール最後尾。つまり横長の楕円のまんなかあたりで聞くことになり、舞台上方に設置されたスピーカーからの音がホール後ろに反射して、こちらの耳に届くまでのタイムラグがかなりあるのだ。いちばん閉口したのは『Trading Taps』で、肝心のソロのタップ音が反響音と完全に混じってしまい、全くといっていいほどよくわからないものになってしまったのだ。音楽がある部分はまだいい。音の数がシンプルになればなるほど、ごまかしがきかなくなる。大阪城ホールが心配になってきた。LOTDの時はどうだったっけな。



 さて、昼の部を観たかった理由はいくつかある。メインダンサーが誰かというのもそのひとつ。男性プリンシパルはライアン・"ダイアリー"・キャロルさん。オフィシャルサイトにAirのURLを載せるという暴挙、いや快挙を成し遂げた張本人でもある。この功績により、彼はAir永久名誉会員になったという噂もある(笑)。ただし――ライアンさんが日本語を読めないと思って書くのだが(^_^;)――彼のダンスにはいまひとつ光るものが欲しかった。主演ならではの、観客に強烈な印象を与える何かが。

 その点、ロシーン・キャハランさんはよかった。東京で観たジュリーさんよりも、私は彼女の方を推したい。何より、華がある。演技も大振りでメリハリがはっきりしているから舞台向き。ブランダン=ロシーンペアを観てみたくなった。

 スパニッシュはヨランダさんが踊る。すると昼夜連続でつとめあげるのだろうか。あるいは昼はUnderstudyのお出ましか、と思っていたのでこれは意外と言えば意外だった。私は昨年3月14日昼公演で彼女を観ており、スカートさばきの上手な人だなあと思っていたのだが、今回久しぶりに観て、彼女の堂々たる成長ぶりが嬉しくなった。

 マリア・パヘスと同格に比べるのは酷というものだろう。だが、ヨランダさんはマリアの影を追うのではなく、彼女にしかできないダンスを踊ろうと一所懸命もがいている。そこが胸を打つ。マリア・パヘスが手がけた――故に、マリア自身が踊るといちばん輝くはずの――コレオグラフに果敢に挑戦するその姿は、それだけでとても美しいのだ。昨年感心したスカートさばきにはますます磨きがかかっていた。絹のような滑らかな手つき、羽毛のように軽々とひらめくスカート、この柔和で繊細な表現はおそらくマリア・パヘスにはない資質の持ち主であることの証ではないか。そのかわり、エンディングでの回転は苦手らしく、ぎこちない動きになっていたのだが。このあたりは、いずれは彼女自身が自分に合わせた手直しを施すのではないだろうか。

 と書いたことと矛盾するのかも知れないが、今さらながらだがマリア・パヘスの、『Firedance』でのコレオグラフは歴史に残る名作だと思う。彼女自身が踊るとき以上に、今日は振付の素晴らしさがよく分かった(なにしろ、マリアが踊るときは息まで止めて、一挙一動を目を見開いてみつめているから、こちらに振付を楽しむ余裕などないのです)。アイリッシュ・ダンスとの絡み方も実に無駄がなく、マリア・パヘスという人の研究熱心ぶりが見事に反映されている。

 ヨランダに話を戻す。第2幕の『Heartbeat of The World』はさすがに苦しそう。だが、カスタネットによるセッションがいい。髪は三つ編みにし、なんとヘソ出しルックで、実に楽しそうにカスタネットを叩く。かわいいヒトなのだ。

 イリアン・パイプスのことについて書くのを忘れていた。デクラン・マスターソンのソロは、名古屋では比較的ゆっくりたっぷり演奏していた。ラスト近くまで全く音を途切れさせなかった東京でのあれは、じゃあなんだったんだろう…?


▼△とんがりやま▽▲DEC.2000


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